
こまちちゃんの優しさの根を育てた絵本シリーズ第一作
七夕の夜、こまちちゃんは
短冊に願いを書きました。
「願いは未来へ育つ種。」
よしのおばあちゃんが
教えてくれたその言葉は、
こまちちゃんの心の中で、
そっと芽を出し始めていました。

それから数日。
やさしの森には、
朝顔が咲く季節がやってきます。
毎朝同じ場所へ行き、
同じ朝顔に水をあげるこまちちゃん。
その小さな日課の中で、
こまちちゃんは大切なことに気づいていくのでした。
Contents
朝顔はどうして毎日咲くの?

朝のやさしの森。
やわらかな朝日が
木々の間から差し込み、
小鳥たちが楽しそうにさえずっています。
こまちちゃんは、
小さなじょうろを持って
朝顔の前へやってきました。
「おはよう。」
そう声をかけながら、
やさしくお水をあげます。
すると——
「わぁ。」
昨日よりも、
つるがほんの少しだけ伸びていました。
「昨日はここまでだったのに。」
こまちちゃんは、
うれしそうに笑います。
昨日より少しだけ変わる朝顔

次の日。
朝顔を見に行くと、
小さな葉っぱが一枚増えていました。
「また大きくなってる!」
さらにその次の日。
今度は、葉っぱの間に
小さなつぼみが顔をのぞかせています。
「つぼみだ!」

毎日見ているからこそ分かる、小さな変化。
遠くから見れば、
昨日も今日も
同じ朝顔に見えるかもしれません。
でも、近くで毎日見ていると、
ほんの少しずつ違うのです。
つるは少し伸び、
葉っぱは一枚増え、
つぼみは静かに育っていく。
朝顔は、毎日ほんの少しずつ変わっていました。
こまちちゃんは朝顔を見つめながら、
小さく首をかしげます。
「どうして朝顔は、毎日少しずつ変わるんだろう?」
朝顔が教えてくれた小さな積み重ね

次の日。
こまちちゃんは、
よしのおばあちゃんと
一緒に朝顔を眺めていました。
風が吹くたび、
花や葉っぱが
やさしく揺れています。
しばらく静かな時間が
流れたあと、
よしのおばあちゃんが
穏やかに話し始めました。
「朝顔はね。」
こまちちゃんは
耳をぴんと立てます。
「今日だけ頑張ったから咲いたんじゃないんだよ。」
「え?」
こまちちゃんは目を丸くしました。
よしのおばあちゃんは
朝顔を見つめたまま、
ゆっくり続けます。
「雨の日も。」
「曇りの日も。」
「暑い日も。」
「誰も見ていない夜も。」
「朝顔は、毎日ほんの少しずつ伸びていたんだよ。」
こまちちゃんは、
つるを見つめました。
細くて小さなつる。
でも、その先には新しい葉っぱがあり、
小さなつぼみがあり、
きれいな花が咲いています。
昨日だけでは、
この姿にはなれなかった。
今日だけでも、
この花は咲かなかった。
毎日の小さな時間が重なって、
今の朝顔になったのです。
こまちちゃんは、
そっとつぶやきました。
「花は……。」
「咲く日のためだけじゃなく、毎日を生きていたんだね。」
よしのおばあちゃんは、
やさしく微笑みました。
七夕の願いは未来へ育つ種

それから数日後。
朝顔は、
さらにたくさんの花を
咲かせていました。
青い花。
紫の花。
朝日に照らされて、
どの花も生き生きと輝いています。
こまちちゃんは思わず笑顔になりました。
「きれい……。」
風が吹くと、
朝顔はうれしそうに揺れます。
その様子を見ながら、
よしのおばあちゃんが静かに言いました。
「願いも同じなんだよ。」
その言葉を聞いた瞬間、
こまちちゃんは七夕の夜を思い出しました。
短冊に書いた願い。
「願いは未来へ育つ種。」
あの日の言葉が、
心の中でそっとつながります。
よしのおばあちゃんは続けました。
「昨日より少しだけ。」
「今日より少しだけ。」
「その積み重ねが、やがて花を咲かせるんだよ。」
こまちちゃんは
朝顔を見上げました。
毎日少しずつ伸びていたつる。
毎日少しずつ増えていた葉っぱ。
毎日少しずつ育っていたつぼみ。
その積み重ねが、
今、
こんなにも美しい花になっているのです。

こまちちゃんは、
朝顔に向かってにっこり笑いました。
「ありがとう。」
すると朝顔は、
風に揺れて、
まるで「どういたしまして。」と
答えてくれたようでした。
朝顔の風水|毎日の積み重ねを応援してくれる夏の花

朝顔は、夏の朝に花を咲かせることから、
「新しい始まり」や「成長」を
象徴する縁起のよい花といわれています。
風水では、
朝の光をたっぷり浴びる植物は、
良い気を取り込み、
住まいに明るい運気を運んでくれる存在です。
特に東の方角は、
「成長」「発展」「若々しいエネルギー」
を表す方位。
朝顔を東側で育てたり、
朝顔の写真や絵を
東の方角に飾ったりすると、
「少しずつ前へ進む力」を
後押ししてくれるでしょう。
もちろん、
一番大切なのは
毎日植物を眺める時間です。
昨日との小さな違いに気づくことは、
自分自身の小さな成長にも気づくことにつながります。
朝顔は、花だけではなく、
「毎日を大切に過ごす心」
も育ててくれる、やさしい夏の先生なのかもしれません。
関連作品|願いは未来へ育っていく
今回のお話は、七夕のお話から続く夏の物語です。
まだ読んでいない方は、こちらのお話もぜひご覧ください。
夏越の大祓|半年のけがれを払い、新しい自分へ
👉夏越の大祓とは?こまちちゃんと半年を振り返る|こまちちゃん風水日記#51
七夕とは?願いごとは自分との約束|こまちちゃん風水日記52
七夕に願いを書く意味や、「願いごと」との向き合い方を描いた物語です。
👉 七夕とは?願いごとは自分との約束|こまちちゃん風水日記#52(前編)
願いは未来へ育つ種|こまちちゃん風水日記53
願いは書くだけで終わるものではなく、未来へ育てていく種であることを描いた七夕後編です。
👉 七夕とは?願いは未来へ育つ種|こまちちゃん風水日記#53(後編)
おわりに|未来という花を咲かせるために

毎朝、朝顔は静かに咲きます。
誰かに褒められるためではありません。
誰かと比べるためでもありません。
昨日よりほんの少しだけ、
自分らしく育つためです。
七夕の日にまいた願いという種も、
きっと同じなのでしょう。
今日という一日を大切に重ねること。
その小さな積み重ねが、
いつか未来という花を咲かせてくれます。
朝顔は今年の夏も、
静かに私たちへ教えてくれています。
「大きな花は、小さな毎日から生まれるんだよ。」
やさしの森をおさんぽしよう

今日は遊びに来てくれてありがとう。
やさしの森では、
季節がめぐるたびに新しい物語が生まれます。
次のお話もどうぞお楽しみに♪
こまちちゃんの風水日記は、毎週金曜日に新作をお届けしています。
また、やさしの森で会おうね。





