
📖 この物語は前編から続いています。
ハムちゃんが「そういう考え方もあるんだね。」
という大切な言葉に出会う場面から読むと、
後編の感動がより深まります。
▶ 自分が正しいと思い込んでいない?|おこりんぼうのハムちゃん①
こんにちは!
こまちです。
前回のお話では、
自分と違う考え方に出会ったとき、
「そういう考え方もあるんだね。」
と思える心の大切さを、
ハムちゃんと一緒に考えました。
前編をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。
ハムちゃんが「そういう考え方もあるんだね。」という言葉に出会うお話です。
▶ 自分が正しいと思い込んでいない?|おこりんぼうのハムちゃん①
あの日から、
ハムちゃんの心には、
小さな変化が生まれていました。
でも・・・
本当に大切なことに気づくのは、
まだこれからです。
ある日ハムちゃんは、
思いがけず仲間たちの本当の気持ちを知ることになります。
そのとき初めて、
自分が怒っていた陰で、
仲間たちがどんな思いを抱えていたのかに気づくのでした。
今日は、言葉が人の心に残ること、
そして信頼やご縁は、
少しずつ育っていくものだということを、
ハムちゃんと一緒に考えてみませんか。
聞こえてきた、本当の気持ち

次の日、
ハムちゃんは、
少しだけ勇気を出して
やさしの森の広場へ向かいました。
「また、みんなと仲良く遊べるかな……。」
そんなことを考えながら
歩いていると、
大きな木の向こうから、
小さな話し声が聞こえてきました。
リスちゃん。
小鳥さん。
もぐらさんです。
ハムちゃんは
思わず足を止めました。
「今日、ハムちゃんも誘ってみようか。」
リスちゃんが、
やさしく言いました。
すると、小鳥さんは少しだけ困った顔になります。
「うん……。」
「本当は一緒に遊びたいんだけど……。」
「また怒らせちゃったら、悲しいなって思うの。」
もぐらさんも、
小さくうなずきました。
「ぼくも同じだよ。」
「ハムちゃんは好きだけど、
怒っているときは、
どう話しかけたらいいのか
分からなくなっちゃうんだ。」
「だから、少し離れてしまったんだよ。」
その言葉を聞いたハムちゃんは、
胸がぎゅっと苦しくなりました。

(みんな……。)
(ぼくを嫌いになったんじゃ、なかったんだ……。)
(ぼくを困らせたくなかったから、離れていたんだ……。)
そのとき初めて、
ハムちゃんは気づきました。
怒っていたのは、自分だけ。
でも、困っていたのは、
自分だけではなかったことを。
心に残る言葉

ハムちゃんは、
昨日の山道を思い出しました。
二つに分かれていた道。
そして、こまちちゃんの言葉。

歩く道は違っても、どちらも山へ続いていることがあるんだよ。
考え方も、きっと同じなんじゃないかな。
そのときは、
少し分かったような気がしただけでした。
でも今なら、
その意味が少し分かる気がします。
「ぼくは……。」
「ぼくの考えだけが正しいって思ってた。」
「だから、みんなの気持ちを聞こうとしなかった。」
「違う考えを聞くたびに、怒ってしまった。」
ハムちゃんは、
そっと自分の胸に手を当てました。

「ぼくが傷ついていたと思っていたけれど……。」
「本当は、みんなの心も傷つけていたんだね……。」
その瞬間、
昨日まで見えていた森の景色が、
少し違って見えました。
木々は何も変わっていません。
風も昨日と同じように吹いています。
変わったのは、景色ではなく、
ハムちゃんの心でした。
こまちちゃんは
少し離れた場所から、
その姿を見つめていました。
何も言わず、ただ優しく微笑みます。
ハムちゃんは、
その笑顔を見て、
小さくつぶやきました。
「ぼく……。」
「みんなに謝りたい。」
でも、その足は、
まだ少しだけ震えていました。

「ちゃんと……許してもらえるかな……。」
そんな不安を抱えながら、
ハムちゃんは一歩だけ前へ踏み出したのでした。
「ごめんね」は勇気の言葉

ハムちゃんは、
大きく深呼吸をしました。
そして、ゆっくりと
リスちゃんたちのところへ歩いていきます。
リスちゃんが最初に気づきました。
「あっ、ハムちゃん!」
その声を聞いて、
小鳥さんともぐらさんも振り返ります。
ハムちゃんは、
少しうつむきながら立ち止まりました。
胸がどきどきしています。
何度も言葉が出なくなりました。
それでも、
勇気を出して口を開きます。

「みんな……。」
「今まで、ごめんね。」
森に、静かな風が吹きました。
「ぼく、自分の考えだけが正しいと思ってた。」
「みんなの話を聞こうともしないで、怒ってばかりいた。」
「きっと、たくさん嫌な思いをさせちゃったよね。」
ハムちゃんは、
もう一度深く頭を下げました。

「本当に、ごめんなさい。」
しばらくの間、
森は静かでした。
やがて、リスちゃんが優しく微笑みます。
「ありがとう。」
ハムちゃんは、
驚いて顔を上げました。
「えっ?」
「勇気を出して話してくれて、ありがとう。」
小鳥さんも、
小さくうなずきます。
「私たちね。」
「ハムちゃんが嫌いになったわけじゃないの。」
「また怒らせちゃったら悲しいなって思って、どう話しかけたらいいのか分からなくなっていたの。」
もぐらさんも笑顔で言いました。
「本当は、また一緒に
遊びたかったんだよ。」

その言葉を聞いた
ハムちゃんの目は、
少しだけ潤みました。
ご縁は、大切に育てるもの

ハムちゃんは、
小さな声で言いました。
「ごめんねって言ったけど……。」
「一度言ってしまった言葉は、
なくならないよね。」
こまちちゃんは、
ゆっくりとうなずきました。
「そうだね。」
「言葉は、お空に飛んでいく鳥さんみたい。」
「一度飛び立ったら、もう元には戻せないの。」
「だからね。」
「嬉しい言葉も、
悲しい言葉も、
口にする前に一度だけ考えられたら素敵だなって思うの。」
ハムちゃんは、
静かに耳を傾けます。
「でもね。」
こまちちゃんは、
優しく続けました。
「だからといって、
何もかも終わりというわけじゃないよ。」
「心から『ごめんね』と思って、
そのあとも優しい言葉や行動を
少しずつ積み重ねていけば、
ご縁はまた育っていくんだよ。」
リスちゃんが笑顔で言いました。
「信頼ってね。」
「どんぐりの木みたいなんだと思う。」
「大きくなるまでには
長い時間がかかるけれど、
毎日大切に育てれば、
やがて大きな木になるよ。」
小鳥さんも羽を広げます。
「だから、私たちも一緒に育てていこう。」
もぐらさんは、
にっこり笑いました。
「また今日から、みんなで少しずつね。」
ハムちゃんは、
みんなの顔を見渡しました。
どの顔も、優しく笑っています。
その笑顔を見たとき、
ハムちゃんは思いました。
(信頼は、一日では育たない。)
(でも、今日からまた、一歩ずつ歩いていけばいいんだ。)
そのとき、こまちちゃんが
空を見上げながら、
そっと言いました。
「違う考えや得意なこと、性質が違うからこそ、
お互いに助け合えることもあるんだね。」

でもね、魂だけは、みんな一緒だよ。
みんな、やさしの森が大好きで、正直で思いやりに溢れた仲間だもんね。
森のみんなは笑顔でうなずきました。
やさしの森には、
あたたかな風が吹き抜けます。
その風は、
みんなの心を
そっと包み込んでくれているようでした。
心の風水|笑顔は、笑顔を運んでくる

風水では、毎日どんな「気」を
自分から出しているかも、
とても大切だと考えられています。
笑顔には、笑顔が集まります。
優しい言葉には、
優しい言葉が返ってきます。
もちろん、悲しい日や怒りたくなる日もあります。
それは誰にでもあることです。
でも、その気持ちを相手にぶつけてしまうと、
相手の心にも悲しい気持ちが広がってしまいます。
相手の表情は、まるで鏡のよう。
こちらが笑顔になれば、
相手も自然と笑顔になります。
こちらが思いやりを持って接すれば、
その優しさは少しずつ周りへ広がっていきます。
今日の笑顔が、明日の素敵なご縁につながるのかもしれませんね。
みんなで笑う森

その日から、
ハムちゃんは
少しずつ変わりました。
すぐに怒りそうになったときは、一度だけ深呼吸。
「そういう考え方もあるんだね。」
そう心の中でつぶやくようになりました。
もちろん、
失敗する日もあります。
でも、そのたびに素直に
「ごめんね。」と言い、
自分の言葉や行動を見つめ直しました。
すると、森のみんなも
安心して話しかけられるようになりました。
ある日。
リスちゃんが笑顔で言います。

「今日はどっちの道を歩こうか?」
ハムちゃんは少し考えてから、
にっこり笑いました。
「どっちも楽しそうだね。」
「みんなは、どう思う?」
その一言に、
こまちちゃんも思わず笑顔になります。
「うん。」
「みんなで決めよう。」
リスちゃん、
小鳥さん、
もぐらさんも嬉しそうにうなずきました。
やさしの森には、
みんなの笑い声が響きます。
一人では聞こえなかった笑い声も、
みんなと一緒なら何倍にも大きく、
何倍にも温かく聞こえました。

もう一度、前編から読む
ハムちゃんの心が少しずつ変わっていく様子を、前編から読むと、より深く物語を楽しめます。
▶ 自分が正しいと思い込んでいない?おこりんぼうのハムちゃん①|こまちちゃん風水日記55
うさねこのつぶやき

このお話を書こうと思ったきっかけは、
私自身が大切にしている一つの言葉でした。
それは、
「和をもって貴しとなす」
という教えです。
(聖徳太子が制定した
『十七条憲法』第一条に記される。)
この言葉には、「みんな同じ考えになりましょう」
という意味ではなく、
お互いの違いを認め合い、
一方が我慢したりせず、
話し合い、
争いをせず調和を大切にしましょうという願いが込められていると私は感じています。
時代が変わると、
便利な道具や暮らし方、
常識は少しずつ変わっていきます。
30年前、「いつか一人ひとりが小さなパソコンを持ち歩く時代が来るよ」
それは、写真も撮影できるし、電話もできる、音楽も聞けるんだよ
と言われても、多くの人は信じられなかったと思います。
でも今では、それが当たり前になりました。
時代が変われば、
便利な道具も、
暮らし方も、
常識も少しずつ変わっていきます。
でも、どんな時代になっても変わらないもの、
変わってはいけないこともあります。
人を思いやる心。
感謝する心。
誠実であること。
ご縁を大切にすること。
私は、そんな心は何百年たっても変わらない宝物だと思っています。
こまちちゃんの優しさの根を育てた絵本シリーズ第一作



