
こまちちゃんの優しさの根を育てた絵本シリーズ第一作
令和8年(2026年)1月20日は大寒の日。
大寒は、二十四節気の中でいちばん寒い頃。
けれどこの森では、「寒さ」よりも「静けさ」のほうが強く感じられる日でもあります。
音が少なくて、
風がやさしくて、
心の奥まで透明になるような朝。
Contents
きりりと澄んだ、冬の朝

やさしの森に、しん…とした空気が流れる朝。
こまちちゃんとめいたくんは、
肩を並べて森の奥の泉まで歩いていました。
草の先には小さな霜の花。
吐く息は白く、空はどこまでも透明です。
「きょうはね、“大寒”の日なんだよ」
こまちちゃんは、そう言いながら、
小さな木のコップを両手で大事そうに持っていました。
大寒のお水

泉のそばに着くと、
こまちちゃんとめいたくんは、
そっと手を伸ばしました。
「…つめたい。でも、きれいだね」
澄んだ水は、
まるで森がそっと差し出してくれた贈りもののよう。
朝いちばんのお水をいただこう!
大寒の朝の澄んだお水です。

「なんだか…心の奥まで、すーっとするね」
「うん。空気まで、きれいな感じがするよ」
めいたくんは、そっと目を細めました。
くまのしげるさんのお話

そこへ、のっしり、のっしりと
歩いてきたのは、くまのしげるさん。
「おやおや、今日はいい顔をしているねぇ」
「しげるさん、おはようございます!」
しげるさんは、やさしく笑って言いました。
「大寒の朝の水はね、一年の中でいちばん澄んでいると言われているんだよ。
昔の人は、この水でお茶をいれたり、文字を書いたり、お酒や味噌作りなど大事な仕込みをしたりしてきたんだ」
「へえ……だから、こんなに気持ちいいんだね」
こまちちゃんは、
ひとくち、そっと水を口に含みました。
冷たいのに、
なぜか胸の奥がぽっとあたたかくなるような、不思議な感覚でした。
大寒のたまごのちから

しげるさんは、木の切り株の上に、小さなお椀を置きました。
中には、湯気がふわりとのぼる、あたたかい卵のスープ。
「そしてね、大寒の日に生まれた卵は、元気の力がぎゅっとつまっているとも言われているんだよ」
「わあ…!」
「なんだか、たべる前から元気になりそうだね」
三人でそっと手を合わせて、「いただきます」。
からだの中に、やさしいぬくもりが広がっていきます。
心をととのえるということ

「特別なことをしなくてもいいんだよ」
しげるさんは、湯気の向こうで、穏やかに言いました。
「澄んだ空気を吸って、
きれいな水を飲んで、
あたたかいものをいただく。
それだけで、人(動物)の心はちゃんと整っていくんだ」
こまちちゃんは、胸に手をあてて、小さくうなずきました。
「……ほんとうだね。なんだか、きょうはとてもやさしい気持ち」
めいたくんも、にっこり笑います。
「寒い日って、あたたかさに気づける日なんだね」
こまちちゃんの風水メモ

・大寒の朝は、空気も水もとても澄んでいる
・朝の深呼吸は、心をリセットするのにぴったり
・あたたかい食べものは、運と元気の土台になる
・「ととのえる」ことは、がんばりすぎないこと
まとめ

生きものが、生きものをいただいて生きていること。
それは当たり前だけれど、ほんとうはとても尊いこと。
だからこの朝は、
「何かを願う日」ではなくて、
「ありがとうを思い出す日」。
ふたりはそうやって、静かに手を合わせました。
大寒は、心を整えるための節目の日
大寒は、ただ寒い日ではありません。
・空気が澄みきる
・音が少なくなる
・自分の内側に意識が向きやすくなる
だからこそ、
暮らしや心をそっと見つめ直すのにぴったりな日なのです。
あたたかい飲みものを飲む。
ゆっくり呼吸をする。
食べものに「ありがとう」と思ってみる。
それだけで十分。
なにかを頑張らなくても、
心の流れは、ちゃんと整っていきます。
こまちちゃんとめいたくんの小さな会話


きょうの水、なんだか森からの贈りものみたいだったね

うん。からだよりも、心のほうがぽかぽかしてる

じゃあ、きっと…いい一日になるね

うん、きっとね
うさねこの小さなお話

大寒の水や、大寒の卵。
それを「特別なもの」と感じにくくなったのは、
いまの暮らしがありがたいことに、
とても便利になったからかもしれません。
けれど、澄んだ水があること。
命をいただいて生きていること。
自然が季節を巡らせてくれていること。
それはすべて、当たり前ではなく、
長い時間をかけて、受け継がれてきた恵みだと思っています。
大寒の日が、
何かを「得る日」ではなく、
そっと手を合わせて「ありがとう」を思い出す日になりますように。
そんな願いを込めて、このお話を書きました。
こまちちゃんの物語が、
そんなやさしい気持ちを思い出すきっかけになればうれしいです。
こまちちゃんの風水日記は、毎週金曜日に新作をお届けしています。
お楽しみにしてくださいね♪
― こまちちゃんより🐇





